辰 巳

辰 巳


イメージ 1



1日の終りの、一番遅くまで上質の蕎麦を食べさせてくれる唯一の蕎麦屋だと思う
市内の歓楽街、通称片町で営業している。
場所柄、1杯引っ掛けて、或いは締めで蕎麦を。という客や、いや、そんな客しか来ない店かもしれない。

同じ時間帯に、似たような場所で営業している蕎麦屋に比べると
値段は深夜割り増し価格ほど高くなっているが、それだけの値打ちはあると思う。

今夜の仕事の仲間と飲んだ後の、お決まりの締めの店だ。
僕も若い頃はご多分にもれず、飲んだ後にはラーメンが締めの定番だったと思うが、巷には老若が入り混じって歓楽を求めているので、当然昔から蕎麦屋も存在していたのかもしれない。
しかし、それが「まともな」蕎麦屋があったかどうかまでは判断できない。当時の僕は興味がなかったのだ。


ここは普段は21時頃、週末は22時頃より営業している。
仕舞いはそばが切れた時、または気が向いて追い打ちした麺が切れた時。要するに店主の気分なのだ。

イメージ 2


それでもご贔屓の客はいると見えて、客好みの麺の太さをちゃんと用意しているのには感心する。来ないのが分った時点で別の客が望めば出すそうだ。この日はまだ「はしり」なので当然出してはもらえない。

イメージ 3

普段は太打ちと細打ちを用意している。店の前に挙げているように地元蕎麦粉を十割で打って提供している。
イメージ 4



この日は馬刺しが出た。背油というたてがみ肉で、脂肪で白い馬刺しも登場した。
気まぐれのように、メニューにないものがあるのだ。

こちらの店主は九州の出身だと言ってた。
ビールしか飲めない九州男児が、蕎麦に出逢って福井で店を開いている。置いてあった酒は地酒の「幻蔵」という銘柄。

これらは彼の、「きっと何かの縁」なのだと思う。

イメージ 5